■ 横手城
まずは横手城。戦国時代にはこの地方を支配した小野寺氏の拠点として機能。小野寺氏は関ヶ原で西軍の上杉景勝に味方したため、改易され、一時的に最上領に。戦後、秋田に転封した佐竹領となる。
一国一城令の後も破却を免れ、佐竹の支城として幕末まで存続するも、戊辰戦争で仙台藩・庄内藩の攻撃を受けて落城した。
天守閣は1965年に復元されたもので、これは東北地方における復元天守の先駆けとのこと。一帯は横手公園として整備されており、桜の名所として有名。
■ 道の駅 雁の里せんなん 雁太郎
横手を出たのちは、基本的にまっすぐ北上しながら角館を目指す。途中、道の駅 雁の里せんなんでブランチ。横手焼きそばに続いて、またしてもいい感じのB級グルメを発見したのでさっそく注文。
納豆三郷豚丼と
三郷たぬ中である。納豆豚丼はそのままなのだが、豚丼に納豆をトッピングする、というのはありそうでなかったというか、「その手があったか!」といった新鮮な驚き。メニューには「ミスマッチがイケてます!」と紹介されているのだが、いや、全然そんなことないよ! かなりマッチしてるよ!
たぬ中はおそらく「たぬき中華」の略だと思われ、たぬきうどん中華麺バージョン、といったところ。こちらも美味。
いい機会なので言っておきたいのだが、これぞ道の駅のレストランにあるべきメニューだと思う。場所によっては、地元の高級食材をふんだんに使った1000円以上もするメニューを取り揃えているところもあるのだが、それよりも自分は、こういうご当地B級グルメが食べたい!
■ 戸部一憨斎の墓?
さて角館に行くまでに一か所拠りたい場所があって、それを探してみたのだけれども、どうも場所がよくわからない。探していたのは一憨斎 戸部正直の墓。誰かというと『奥羽永慶軍記』の著者である。東北の戦国時代は、そもそも残っている史料が少ないために未解明な部分が大きい。そこで役に立つのがこの『奥羽永慶軍記』で、著者の戸部一憨斎は自分の足で旅をして、土地の古老に戦国時代の話を取材しながらこの本をまとめた。
事前に調べたところ、横堀の熊野神社というところに墓があるという話だったのだが、どうも見つからなかった。情報をお持ちの方はぜひお知らせいただきたい。
■ みちのく小京都・角館
さて、角館に到着。角館については戦国時代、戸沢氏の拠点で、昔ながらの屋敷が残っている、といったくらいしか事前知識がなかったのだが、正直来てみて驚いた。「昔ながらの屋敷が残っている」といったレベルではなく、完全に武家町の雰囲気が残っている見事な街並みだった。
恥ずかしながら、訪れてみて初めて知ったのだけど角館は「みちのく小京都」の異名をとるらしい。いや、むしろこの町並み、京都よりもタイムスリップ感があるのではないだろうか? なんというか、黒に統一された町並みが本当にきれいで、着物の人が歩いている情景を脳内再生することが簡単にできてしまう。自分の中では、京都を歩いているよりも楽しかった。
角館は先にふれたように、戦国時代には戸沢氏の拠点だった。佐竹領になってから、城は破却されたものの、館として地方支配の拠点であり続けた。そのため、城はないものの城下町として町並みが存続し、このきれいな街並みが今に続いている。
■ 田沢湖と進路変更。あれ? 秋田の旅?
さて、角館から北上して田沢湖へ。こちらは日本一深い湖として有名。角館を出たあたりで軽い雨が降ってきたので心配だったのだが、田沢湖に着いたときにはまた晴れだして、心地のよいドライブだった。県道247号 → 38号で湖をぐるっと半周。
左側にちらっとうつっているのは、田沢湖のシンボルたつこ像。 |
ここでもう半周して角館方面へと戻り、秋田市へ向かう予定だったのだが、天気予報をチェックすると、角館よりも西は現在進行形で雨が降っている。しかも、明日、明後日も雨の予報。雨の中を原付で長距離移動するのは思っている以上にきつい。
一方で太平洋側の岩手の天気予報をチェックすると...
快晴
である。うーん。空も曇りだしてきているので、この辺りもすぐ雨が降り出すことは確実。秋田の旅と題して始めたこの旅だけど、わずか2日目にしてするしかない。進路変更! 秋田の旅改め、岩手の旅に変更だ!
雫石城址。 |
県境である仙岩トンネルを抜けると、さっきまで降っていた雨がきれいに止んだ。日本海側と太平洋側ではこうも露骨に天気が切り替わるものなのか。
途中、道の駅 雫石あねっこで濡れた体をぬぐって休憩。途中、一か所だけ雫石城跡に寄り道をして、本日は盛岡に宿泊。天気予報を確認すると、どうも明後日から台風が接近し、数年に一度の大雨、暴風雨とのこと。
うーん。これはもう明日一日かけて仙台まで帰るしかない。タイトルが【秋田の旅?】とクエスチョンマークが入っているのにお気づきいただけたであろうか? 5日間の秋田の旅の予定が、まったく違うものになってしまった。うーん。
続く。